業務用冷食・秋の新商品 コンセプトより明確に、時短・簡便に注力

更新情報・今週のヘッドライン

2024年3月第4週号

  • 業務用凍菜の展開本格化、時短素材品で外食開拓 ―― ニチノウ

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    かぼちゃスライス

     せき(茨城県)子会社のニチノウ(中野亘社長)はこのほど、〈業務用冷凍野菜〉シリーズを立ち上げ、新商品8品を発売した。業務用カット野菜製造のノウハウを生かして家庭用冷凍野菜〈mikata〉ブランドなどを展開する同社が、業務用冷凍食品に参入する。国産原料調達に強みを持つ親会社の機能を活用し、家庭用で培った冷凍野菜製造のノウハウを生かして、外食向けなどの新たな販路を切り拓く考え。新商品は一昨年新設した埼玉新工場(埼玉県深谷市)を活用する。

     新商品は、「かぼちゃスライス500g(生冷タイプ)」(20入り)、「蓮根(れんこん)スライス同」(同)、「玉ねぎスライス同」(同)、「さつま芋スライス同」(同)、「さつま芋スティック同」(同)、「じゃが芋皮付き乱切り同」(ボイル冷凍タイプ)、「じゃが芋乱切り同」(同)、「大根半月切り同」(同)。電磁波で原子を振動させながら冷凍することで解凍後にドリップが発生しにくい商品に仕上げている。下ごしらえの手間が省ける時短調理の素材品を提供して調理現場の人手不足を解消する狙いがある。
     同社は2022年に埼玉県深谷市に冷凍食品の製造機能を持つ埼玉新工場を新設して冷凍野菜の領域に参入。これまで冷凍山芋などを販売してきた。同シリーズの発売を機に、今後は業務用凍菜の展開を本格化し、これまで手薄だった外食などの販路を開拓するという。
     中野社長は同シリーズの展開について「当社の製造品目はカット野菜が主力で、販路は加工食品の原料向けが主軸だった。埼玉工場の稼働で冷凍食品の製造体制が整ったため、業務用冷凍野菜の展開を本格化する。商品開発を進めて同シリーズの商品数を増やし、外食市場でシェアを高めたい」としている。

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2024年3月第3週号

  • 24年春夏家庭用新商品 引き続き減少傾向に、主力強化、高質化進む

     2024年春の家庭用冷凍食品新商品は本紙調査で主要冷凍食品メーカー25社から121品の発表数となり、昨年春の146品から大幅に減少、リニューアル品は118品で昨年並み(113品)となった。昨年秋冬商品も40品ほどの大幅減となっており、減少傾向は継続。特徴として見られたのは①主力分野への注力②本格・プレミアム品質の追求③健康ニーズへの対応―の3点。その他、トレンドのプレートメニューへの参入や包装形態の進化などが図られた。主力品への注力や品質向上は価格改定が大きく影響。規格・容量の見直しにより、値上げで動きが鈍った商品の価格を再び抑える動きも見られる。

     主力分野への注力では、ニチレイフーズが既存重点カテゴリーである米飯、おかず、スナックの3つのカテゴリーに新商品を投入しさらなる強化を図った。中でも米飯投入した「Wキムチ炒飯」には“新定番”として高い期待を寄せる。味の素冷凍食品も永久改良を続ける「ギョーザ」の調理性を向上。テーブルマークは中華麺〈まるぐ〉シリーズを拡充した。ケイエス冷凍食品は小型ミンチ肉加工品に注力、「おつまみつくね串」を投入した。
     また、パスタカテゴリーにおいてニップン、日清食品冷凍が、それぞれ主力シリーズの〈オーマイプレミアム〉、〈日清スパ王プレミアム〉を全面刷新した。
     本格・プレミアム品質の追求では、“大人を意識した和の商品”も。味の素冷食はシニアをターゲットとした「若鶏もも焼き」を、マルハニチロは出汁で愉しむ和炒飯として「焼あごだしの五目炒飯」を投入した。イートアンドは羽根つき餃子発売10周年を記念し、「羽根つき円盤餃子PREMIUM」を発売。大阪王将店舗と同じ大きさの大粒餃子を提案する。
     トレンドのプレートメニューではニッスイが〈まんぞくプレート〉にカツカレーを追加。エスフーズは新たに得意の畜肉系商品で外食店監修の弁当メニューにチャレンジした。
     健康を意識した提案も引き続き見られた。マルハニチロは既存米飯シリーズ〈WILDish〉で、たんぱく質摂取に貢献する「WILDish PROTEIN」を、明治は〈銀座〉ブランドのカレーに『食後の血糖値上昇をゆるやかにする』効果を謳った機能性表示食品を投入。日清食品冷凍もおいしさと栄養素のバランスを追求した〈完全メシ〉に「ぶたいか玉お好み焼」を追加した。
     機能面での注目は日清製粉ウェルナの業界初となる脱蒸外袋を採用した袋のまま調理。かねます食品も新シリーズとして〈袋のまま〉シリーズを投入する。
     トピックは業務用専業で展開してきた日東ベストの初の家庭用冷凍食品への参入。得意の畜肉系商品を投入している。

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2024年3月第2週号

  • 東松島工場が竣工、地場産凍菜ラインも ―― マルヒ食品

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    東松島工場外観
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    阿部社長(右)と、渥美市長

     マルヒ食品(宮城・大崎市、阿部幸也社長)は2月26日、宮城・東松島市のグリーンタウンやもと工業団地内に新設したHACCP対応型第二工場「東松島工場」(阿部圭輔工場長、東松島市大場字緑ヶ丘4-4-8)の竣工披露式を開き、関係者約70人が出席した。冷凍、レトルト食品等を製造する新工場では、調理機器の進歩を製造ラインに取り入れ最新の機器を導入。彩りの保持など製品のクオリティアップに生かす。また、枝豆、パプリカをはじめ宮城県産野菜を原料とする凍菜の製造を本格化する。

     東松島工場は、オリジナルブランド〈みんなの介護食〉のチルドパック常食や冷凍弁当、〈クックチル真空パック惣菜〉〈幼稚園向けチルド弁当〉などを製造する三温度帯対応の製造工場。
     投資額は約11億7000万円で、国の津波・原子力災害被災地域雇用創出企業立地補助金を活用した。
     製造商品については、同社は地産地消推進と食品自給率向上を目指してこれまでも宮城のおいしい空気と綺麗な水で育ったミネラル豊富な野菜を商品に使用してきたが、新工場では原材料からのもう一段の品質向上を目指す。
     野菜は1次処理から自社で行い、調理、凍結、レトルト加工、真空包装を設備。最新の機器を導入し製品のクオリティアップに生かす。
     また、「枝豆」「パプリカ」をはじめ宮城県産野菜を原料とする凍菜の製造も本格化する。
     さらに、冷凍弁当、冷凍離乳食・幼児食の〈ファーストスプーン〉については新工場の保管・物流機能を生かして、3PLに預けない自社B2C通販をスタートする。
     式典で挨拶した阿部社長は、「学校給食や介護施設などのインフラを担う企業として、生産拠点の複数化を急務と考えていた。日産2万個の冷凍弁当ラインに加えて、宮城県産原料を使用した冷凍野菜のラインを持ち、製造していく。工場には最新の設備を導入した。お客様の要望にお応えし、よりクオリティの高い商品を提供していく。これまで以上にご期待いただきたい」とした。
     来賓祝辞を述べた渥美巌市長は、東日本大震災の仮設住宅跡地に10年ぶりの誘致企業となったことを受けて、「地震・津波の災害リスクが少ない場所として選んでもらい、マルヒ食品の進出は喜びに堪えない。地産地消での製造とのことで宮城県、東松島市にとっても効果のあることだろう。雇用創出にも期待する。将来的には輸出も見据えるとのことであり、マルヒ食品の事業が円滑に進むよう協力していく」と歓迎した。
     新工場は2月よりテスト稼働しいる。
     【東松島工場概要】
     ▽敷地面積9300㎡、鉄骨平屋一部2階建、延べ床面積2600㎡▽生産能力=日産2万個(冷凍弁当)、その他凍菜製造▽竣工日=1月22日

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2024年3月第1週号

  • 新業態〈SIP〉ストアをオープン、新フォーマットの開発にも繋げる ―― セブン&アイ・ホールディングス

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    冷凍食品は最も強化した部門

     セブン&アイ・ホールディングスは2月29日、千葉県松戸市常盤平に新コンセプト店舗〈SIPストア〉業態の1号店「松戸常盤平駅前店」をオープンした。セブン―イレブンとイトーヨーカドーの品揃えを融合した新業態で、生鮮3品のほか、冷凍食品もNBの売れ筋を投入して強化している。売場面積は85坪、商品数は5300SKUでセブン─イレブンのおよそ2倍。新たなニーズを探るための実験店で、店舗の運営を通して掘り起こした売れ筋を既存のCVSに水平展開するほか、コンビニと食品スーパーの特長を兼ね備えた店舗フォーマットの開発に繋げる狙いもある。

     同店で取り組む実験は①部分最適に繋がる検証と、②全体最適に繋がる検証に分けられる。
     そのうち①部分最適に繋がる検証─は、これまでにコンビニで取扱いがなかった商品の販売を通して新たな売れ筋や売り方を模索し、既存のFC店に水平展開していくというもの。売れ筋の掘り起こしについては「早ければ数カ月で既存店に取り入れられる商品が出てくる」(同社)と見ている。②全体最適に繋がる検証─はSMとコンビニを融合した新たなFCビジネスのフォーマットを開発するというもの。24年度後以降に出店予定の2号店など複数店舗での検証が必要になるため、開発には「しっかりと時間をかける」(同社)考えだ。
     1号店の店内には、カウンター商材や即食などコンビニならではの商品に加えて、生鮮3品や軽衣料などSMの知見を生かした商品も豊富に取り揃えている。
     中でも最も強化したのが冷凍食品で、商品数は263品(コンビニ既存店の平均は85品程度)に上る。PBの構成比が9割以上を占める既存店の冷凍食品売場とは異なり、食品スーパーの売れ筋や冷凍畜肉・凍魚などNB品も数多く展開している。
     同店で強化した冷凍食品は①NBの売れ筋②ハレの日対応の高価格商品③スイーツ・ペストリー④簡便型商品・ワンプレート─の4点。イトーヨーカ堂主導で開発したPB〈EASEUP〉もフルラインで取り揃えた。スイーツを除く商品は壁面埋め込み型のリーチイン什器に扉11面分で展開し、弁当や即食の売場の距離を離すことで店内のカニバリを防いでいる。この店舗で培った冷食の売れ筋は、今後のPBの商品開発にも取り入れるという。

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