業務用冷食・秋の新商品 コンセプトより明確に、時短・簡便に注力

更新情報・今週のヘッドライン

2024年4月第5週号

  • 23年冷食国内生産 金額過去最高を更新、数量は3年ぶりに減少

     (一社)日本冷凍食品協会は19日、2023年1―12月の冷凍食品の生産・消費を発表した。国内生産量は、数量が154万5568t(対前年比3.3%減)となり3年ぶりに前年を下回った。金額(工場出荷額)は7799億円(同2.1%増)と前年を上回り、調査開始以来最高となった。家庭用は数量75万7113t(5.9%減)、金額も3996億円(同1.6%減)と減少した。一方、業務用は数量78万8455t(同0.7%減)、金額3804億円(同6.3%増)と数量は僅かに減少したものの金額は増加した。
     家庭用と業務用の比率は数量ベースで家庭用49.0%対業務用51.0%(前年50.3%対49.7%)と業務用が家庭用を3年ぶりに上回った。金額ベースでは家庭用51.2%対業務用48.8%(前年53.2%対46.8%)と4年連続で家庭用が業務用を上回った。
     大分類の品目別生産量では、農産物(同1.3%増)、畜産物(同11.8%増)が増加したが、調理食品(同3.3%減)が減少し、水産物(同9.1%減)、菓子類(同5.5%減)も減少した。小分類の品目で前年に対して量的に大きく増加したのは、卵製品(同13.9%増)、春巻(同4.4%増)、うどん(同0.5%増)など。炒飯(同10.7%減)、シュウマイ(同15.7%減)、ギョウザ(同5.6%減)は減少した。

    ■消費量、3.4%減の288万t

     協会では「冷凍食品国内生産量」「冷凍野菜輸入量」「調理冷凍食品輸入量」の合計を冷凍食品の「消費量」としているが、23年の冷凍食品消費量は288万387t(同3.4%減)と減少した。これを総人口で割った国民一人当たりの年間消費量は23.3kg(3.1%減)だった。また、金額ベースは1兆2472億円(同3.4%増)と伸長した。
     統計結果ついて木村均専務理事は、「家庭用は大きく減少した。食品の大幅な値上による物価上昇基調で、食品全体でも大きく数量を落としており、冷凍食品もそれに沿った形となった。業務用は外食は好調で順調に回復はしているが、冷食の伸びは思ったより小さかった。また、特殊事情として大手の工場火災による操業停止や工場再編の影響もある。特に業務用は本来であればもう少し数量は多かったと思う」とした。

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2024年4月第4週号

  • 冷凍容器に新技術、強度維持しプラ25%以上削減 ―― エフピコ

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    新技術を説明する佐藤会長
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    比較展示も

     エフピコは4月10日~12日、東京・有明の東京ビッグサイトで同社が製造・販売する食品容器を一堂に展示した「エフピコフェア」を開催、ユーザー・関係者約1万000人が来場した。今回、注目は拡大する冷凍市場への対応を図った「耐寒PPiP―タルク」を使用した容器。従来の素材の強度はそのままに、プラスチック使用量を25%以上削減した。耐熱温度が130℃まであり、冷凍からレンジまで幅広く使用可能。トレー入り商品が主力となりつつある冷凍食品業界における環境対応へ大きく貢献する。
     会場では佐藤守正代表取締役会長が本紙取材に対し、同製品の特長について次の通り語った。
     今回、この展示会で「耐寒PPiP―タルク」という技術を初めて発表する。今まで冷凍食品の容器は耐寒性を持ったポリプロピレン(耐寒PP)の容器が一般的であった。
     常温ではPPタルクという製品があり、タルクを加えることでプラスチックの使用量削減、製品の薄肉化を実現していたが、耐寒PPにタルクを入れると耐寒衝撃性が弱くなるという問題があった。そこで当社では非常に薄い鱗状の無機物と丸い無機物の2種類を混ぜ合わせることでこの問題を解決。広島県福山市に新設した工場だからこそ実現できる技術として「耐寒PPiP―タルク」の技術開発に成功した。
     ポイントは耐寒衝撃性も天地圧縮強度も従来の耐寒PPと変わることなく、同様の重量でプラスチック使用量を25%以上削減していること。
     また蓋についても、耐熱性・耐寒性に優れた当社素材OPETを組み合わせることで、耐寒衝撃性が高く、かつプラスチック使用量を削減する容器を実現することができた。
     今後は冷凍食品売場だけではなく、鮮魚、精肉、惣菜コーナーにも冷凍の陳列ケースにバックヤード、プロセスセンターで作った冷凍食品が並ぶようになってくる。
     当社でも伸長を続けていく分野だと考えており、この非常に画期的な技術が多くのお客様に活用いただけると確信している。

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2024年4月第3週号

  • 3000店の冷食売場拡大 店舗内部にリーチインで、NBも積極的に採用 ―― セブン&アイ・ホールディングス

     セブン&アイ・ホールディングスは10日に開催した2024年2月期決算会見の席上で、今年度中にセブン─イレブンの一部店舗の冷凍食品売場を拡大する方針を表明した。上期方針発表会で示していた方針を正式に表明した形。狭隘で冷凍食品売場を広げにくかった3000店舗に、リーチイン什器を設置して売場を拡大する。投資金額は約1000億円。売場にはNBの売れ筋も導入する。伸長分野の冷凍食品を強化して、既存店の日販を1%引き上げる狙いがある。

     店舗内部の常温ゴンドラなどを設置していたスペースに冷凍リーチイン什器を設置する。売場の増設によって冷凍食品の品揃えが90品程度に増える。既存の約3倍になる。
     アイスクリーム売場との対比では、容積が約2倍、フェイス面積が約3倍の規模になる。
     コンビニで取り扱いが少なかったカテゴリーも強化する。新たに「冷凍パン」「デザート」「ごちそう惣菜」などを展開する。イトーヨーカ堂が開発を主導する〈イーザップ〉ブランドの展開も増やす。これまで構成比が1割を切っていたNBも新規採用を増やす。〈SIPストア〉業態の売れ筋NBなどを水平展開すると見られる。
     会見に登壇した松永文彦社長は「セブン―イレブンでは、売場の拡大も奏功して冷凍食品の売上が過去15年で約20倍に増えている。これまで冷凍食品売場を増設しにくかった小型店に新たな什器を導入したい。買い置きや弁当利用などではない、本当においしい即食を冷凍食品で提供していきたい」としている。

    ●2月期決算、営業利益が過去最高に

     セブン&アイ・ホールディングスが10日に発表した2024年2月決算は、連結で営業収益11兆4717億5300万円(前年比2.9%減)、営業利益5342億4800万円(同5.5%増)、経常利益5070億8600万円(同6.6%増)、当期純利益2246億2300万円(同20.1%減)となった。営業利益が過去最高を更新した。
     国内コンビニエンスストア事業は営業収益9217億600万円(同3.5%増)、営業利益2505億4400万円(同8.0%増)となった。全店の平均日販は69万1000円(同2万1000円増)だった。既存店ベースの売上は同3.0%増だった。平均来店客数が同1.6%増、平均客単価1.4%増だった。
     海外コンビニエンスストア事業は8兆5169億3900万円(同3.7%減)、営業利益3016億2800万円(同4.1%増)となった。スーパーストア事業は営業収益1兆4773億8400万円(同1.9%増)、営業利益135億8800万円(同9.6%増)となった。
     なお、セブンプレミアムの売上高は1兆4500億円(同700億円増)、商品数は3400品(同100品減)で着地している。

2024年4月第3週号 その他の記事

2024年4月第2週号

  • うどん伸び微増に、業務用が大きく回復 ―― (一社)日本冷凍めん協会 23年生産食数

     (一社)日本冷凍めん協会は3月27日、冷凍めんの2023年1月~12月生産食数調査結果を発表した。年間生産食数は20億2426万食で前年比101%となり、近年の最高値である20年の20億943万食を上回った。業務用の市場回復によりボリュームゾーンである「うどん」が増加した。工場出荷額は1332億3000万円(前年同期比116%)、うち業務用442億7000万円、家庭用889億6000万円。加工区分別では「つゆ付きめん」「セットめん・調理めん」はマイナス、「素材めん」が前年を大きく上回った。

     同調査は国内における冷凍めんを製造している企業35社を対象に行われた。
     市販用、業務用の生産食数は、市販用が11億2831万1000食(前年11億8913万食)、業務用が8億9594万8000食(同8億1503万食)。市販用が数字を落とす一方で業務用が伸長した。ただ、業務用はコロナ前の9億食台には届いていない。
     品群別では「うどん」が11億3700万食で前年比103.1%。市販用が97.9%と若干数字を落とす一方で、業務用は112.1%で2桁増となった。また、加工区分では「素材めん」が21年度より年々増加しており、20年度に次ぐ食数となっている。
     次いで食数の多い「中華めん」は3億5000万食で前年比100.1%。業務用は「うどん」同様、116%で2桁増となっており、市販用は81.9%とやや数字を落とした。加工区分で見ると、こちらも「うどん」同様、「素材めん」が2桁増と伸びた。
     「パスタ」は2億600万食で前年比95%。業務用が95.9%、市販用が94.6%で共に数字を落とす結果となった。
     「日本そば」は1億9400万食で前年比96%。市販用は87.6%と減少したものの、業務用は100.4%で前年並みとなった。「セット・調理めん」は62.3%と大幅に落ち込んだ。
     注目は「焼きそば」。分母は決して大きくないものの、6100万食、前年比113.3%と大きく伸ばした。業務用114.0%、市販用112.3%と両チャネルで2桁増。加工区分別に見ると「セットめん・調理めん」が18年度以降、最多の食数となった。

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    生産食数の推移
2024年4月第2週号 その他の記事

2024年4月第1週号

  • 冷食売場拡大を検討 ―― セブン─イレブン・ジャパン

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    青山常務

     セブン─イレブン・ジャパンは3月27日、千葉県千葉市の幕張メッセで開いた上期商品発表会の席上で、冷凍食品売場の更なる拡大を検討していることを明らかにした。店舗の実証実験で設備投資を上回るトップラインの向上効果が認められれば「多くの店舗で一斉に進めていきたい」(青山誠一常務)。商品を縦置きできる冷凍什器の拡大を模索している。平台什器では陳列しにくかったワンプレートや本格的なディナーメニューなどを縦置きで展開して、商品のバリエーションを広げる狙いがある。

     同社は2018年から、平台の冷凍什器を設置する新レイアウトを全国の店舗に導入して冷食の強化に取り組んできた。ただ、足下でも冷凍食品の売上が伸び続けており、「売場が十分な広さではなくなった」(同)ことから、更なる売場拡大を検討しているという。  青山常務は今後の冷凍食品部門の戦略について「これまでセブン─イレブンの冷凍食品売場は平台を使って売場を強化してきた。ただ、現状の売場には、商品開発を進めているワンプレートやディナー向け商品を陳列するスーペースがない。商品を縦置きで陳列できる売場を設けて、新機軸商品を展開していきたい」と語っている。
     売場を拡大する場合、取り扱う商品数も増えることになる。2月に1号店を出店したコンビニとSM融合型の新業態〈SIP〉ストアで売れ筋になったNB商品の導入も視野に入れている。イトーヨーカ堂が開発を主導する〈イーズアップ〉シリーズもフルラインで展開できるようになる。デニーズ監修の冷凍食品のような、グループ企業の知見を生かした商品の導入も進める。新機軸商品については、冷凍ミールキットに対するニーズも高まっているとして、今後の展開を模索する考えを示している。

    ■松竹梅で二極化対応

     全体の商品政策では、前年度に引き続き「松」「竹」「梅」の3ラインの価格帯で商品を展開して、消費の2極化に対応していく。上期は来店者の購入比率が高い「おにぎり」「セブンカフェ」「揚げ物」「サラダ」と、これまで手薄だった「スイーツ」の強化にも取り組む。
     なお、会見では、〈SIPストア〉の現状についても説明した。
     同店では、冷凍食品、野菜・果物、焼成パンの販売が好調に推移しており、既存商品との相乗効果も生まれている。
     冷凍食品については、高齢者や主婦層の購入が多く、夕方以降にサラリーマンの購入率が上がるなど、通常のコンビニとは異なる動きも見られる。青山常務は同業態の運営を通じて「新しいコンビニの品揃えについて考えさせられた」と語り、売れ筋を早期に通常店に水平展開する考えを示している。

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