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今週のヘッドライン|2024年4月第3週号

3000店の冷食売場拡大 店舗内部にリーチインで、NBも積極的に採用 ―― セブン&アイ・ホールディングス

 セブン&アイ・ホールディングスは10日に開催した2024年2月期決算会見の席上で、今年度中にセブン─イレブンの一部店舗の冷凍食品売場を拡大する方針を表明した。上期方針発表会で示していた方針を正式に表明した形。狭隘で冷凍食品売場を広げにくかった3000店舗に、リーチイン什器を設置して売場を拡大する。投資金額は約1000億円。売場にはNBの売れ筋も導入する。伸長分野の冷凍食品を強化して、既存店の日販を1%引き上げる狙いがある。

 店舗内部の常温ゴンドラなどを設置していたスペースに冷凍リーチイン什器を設置する。売場の増設によって冷凍食品の品揃えが90品程度に増える。既存の約3倍になる。
 アイスクリーム売場との対比では、容積が約2倍、フェイス面積が約3倍の規模になる。
 コンビニで取り扱いが少なかったカテゴリーも強化する。新たに「冷凍パン」「デザート」「ごちそう惣菜」などを展開する。イトーヨーカ堂が開発を主導する〈イーザップ〉ブランドの展開も増やす。これまで構成比が1割を切っていたNBも新規採用を増やす。〈SIPストア〉業態の売れ筋NBなどを水平展開すると見られる。
 会見に登壇した松永文彦社長は「セブン―イレブンでは、売場の拡大も奏功して冷凍食品の売上が過去15年で約20倍に増えている。これまで冷凍食品売場を増設しにくかった小型店に新たな什器を導入したい。買い置きや弁当利用などではない、本当においしい即食を冷凍食品で提供していきたい」としている。

●2月期決算、営業利益が過去最高に

 セブン&アイ・ホールディングスが10日に発表した2024年2月決算は、連結で営業収益11兆4717億5300万円(前年比2.9%減)、営業利益5342億4800万円(同5.5%増)、経常利益5070億8600万円(同6.6%増)、当期純利益2246億2300万円(同20.1%減)となった。営業利益が過去最高を更新した。
 国内コンビニエンスストア事業は営業収益9217億600万円(同3.5%増)、営業利益2505億4400万円(同8.0%増)となった。全店の平均日販は69万1000円(同2万1000円増)だった。既存店ベースの売上は同3.0%増だった。平均来店客数が同1.6%増、平均客単価1.4%増だった。
 海外コンビニエンスストア事業は8兆5169億3900万円(同3.7%減)、営業利益3016億2800万円(同4.1%増)となった。スーパーストア事業は営業収益1兆4773億8400万円(同1.9%増)、営業利益135億8800万円(同9.6%増)となった。
 なお、セブンプレミアムの売上高は1兆4500億円(同700億円増)、商品数は3400品(同100品減)で着地している。

売上過去最高、PB、初の売上1兆円に ―― イオン

 イオンは10日、2024年2月期決算を発表した。
 連結で営業収益9兆5535億5700万円(前年比4.8%増)、営業利益2508億2200万円(同19.6%増)、経常利益2374億7900万円(同16.6%増)、当期純利益446億9200万円(同109.0%増)となり増収増益で着地した。営業収益とすべての段階の利益が3期連続で伸長。売上は過去最高を更新した。
 GMS事業は、営業収益3兆3893億5000万円(同3.7%増)、営業利益283億5900万円(同142億6200万円の増益)だった。3期連続の増収増益で着地している。経常利益は5期ぶりに黒字化した。
 SM事業は営業収益2兆7821億7100万円(同5.3%増)、営業利益(同190億6700万円の増益)となった。売上が対前年度比3割増となったフジとマックスバリュ東海、同3倍増となったまいばすけっとの好調が目立つ。
 DS事業は営業収益4004億2800万円(同4.4%増)、営業利益84億8900万円(同48億600万円の増益)。客単価が向上して売上が伸びた。
 ヘルス&ウエルネス事業は、営業収益1兆2351億1500万円(同7.4%増)、営業利益426億円(同22億2700万円の減益)となった。インバウンド需要の回復が売上増に寄与している。
 PBの売上高は1兆10億円(同10.9%増)となり、1兆円の大台に乗った。
 吉田昭夫社長は、「23年度は、PB約2500品をリニューアルし、増量規格の開発や価格凍結も実施するなど自社商品の強化に努めた。PBは引き続き、強化していく。コストコントロールも強化した。店舗DXを活用した生産性向上に取り組み、人事生産性を6%向上させたことが、大幅な利益増に繋がった」としている。

「五つの適正化」に成果 ―― 京果食品・太田垣社長

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 京果食品の太田垣公一社長はこのほど本紙取材に応え、2024年3月期の業績、直近の取組、今後の事業方針などについて、概要次の通り説明した。
 まずは直近の業績について説明する。当社の2024年3月期の業績は、売上高145億9500万円(前年比117%)、利益額23億9700万円(同107%)となった。計画比は売上高が106%、利益額103%で着地した。取扱数量は3万9900t(同108%)だった。増収増益となり、販売数量も前年を上回った。ただ、利益率は円安の影響で1%落とし、苦戦している。
 19年から取組をスタートした完全調理品は、商品数が大幅に増えた。昨年は新たにベトナムの取引先を開拓して惣菜品を上市した。今期は初めて自然解凍の冷凍パンの領域にも参入している。完調品は、各産地の商品を掘り起こして商品を作り込み、安全性の担保を取った上で販売している。安全安心な商品を提供するために、焦らずコツコツと商品開発を進め、カテゴリーを育成したい。
 次に、組織改革の進捗について説明する。当社はこれまで「五つの分野で最適化を進め、組織の改革に取り組んできた。
 そのうち「在庫」について、23年は在庫がやや厚くなった。市場の先行きを見定めて管理を徹底したい。「品質管理」については、完全調理品の販売前にすべての商品の品質を確認している。改革の成果が上がったと感じている。「利益」については、社員一人ひとりが、売上を追うのではなく、適正な利益を得るための方策を考えて、最適な動きを模索するようになった。「営業活動」については、コロナ下で、社員に取引先と密にコミュニケーションをとることを徹底して指導した結果、足下のニーズを拾い上げる体制が強化された。
 そして最も重要な「人材育成」については、この2年間の研修を通じて社員の営業力が上がった。当社では、社員一人ひとりが実現可能な目標を定め、その達成に向けて何をすればいいのかということを考えるように指導してきた。人材育成に終わりはない。継続的に力を入れる。
 最後に市場環境に見通しについて考えを述べる。
 冷凍野菜は今後も市場のニーズは高まると考えている。ただ、販売数量が青天井に伸びるかといえば、それは別の話だ。市場環境が目まぐるしく変わる時代になった。
 企業には、環境の変化に柔軟であること、足元のニーズをしっかり掘り起こすことが求められる。会社も、経営陣も、社員も「こうあらねばならない」という固定観念に縛られてはならない。当社もまた、変わり続ける企業でありたいと考えている。
 なお、当社の24年3月期通期の業績は、売上高150億円(同150%)、粗利益額26億1000万円(同109%)を目指す。在庫の適正化を進めて、利益を増やしたい。

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