冷凍食品新聞社 発行日(週刊・毎週月曜日)購読料1年33,600円(+税)昭和44年6月19日第三種郵便物認可

今週のヘッドライン|2023年6月第1週号

弁当商品復調の兆し、90年代の開発競争再び

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売場の弁当は中心商品群

 22年の家庭用弁当市場は概ね好調に推移したようだ。本紙では、家庭用弁当商品を扱う6社にアンケート調査を行った。その結果、前年よりも「売上が減った」と回答したのは1社のみで、他は全て前年より増えたとの回答を得た。この傾向は23年に入っても継続していると思われる。ただし、その先行きは未知数だ。コロナ禍以前も弁当商品市場は少子高齢化、学齢児童の減少、さらに分母の大きさも影響し、年々伸長率は縮小傾向にあった。本紙では冷凍食品の基本ともいえる弁当商品に注目し、その再活性化を期待して特集を組んだ。

 本紙は冷凍食品メーカーの内、弁当商品を扱う主要6社(味の素冷凍食品、テーブルマーク、ニチレイフーズ、ニッスイ、日本ハム冷凍食品、マルハニチロ)に昨年度の、弁当商品「売上ベスト3」と「自信をもってお勧めする弁当商品5品」を自薦してもらった。
 興味深いのは「売上ベスト3」全18品の内、1990年代に発売された商品が8品と最も多く、最も新しい商品でさえ2014年発売だったことだ。
 また「自信をもってお勧めする弁当商品5品」計30品も1990年台に発売開始した商品が9品と最も多く、2000年前半に発売された商品が5品、2020までに発売された商品が3品、1990年以前が2品、2020年以降が4品、未記載が7品という結果になった。
 この結果から推察されるのは弁当商品が、1990年代のコアなファンが親から子へと引き継がれ、底堅い市場形成に繋がっていることだ。
 この時代はいわゆる団塊ジュニア層が中学高校を迎え1000万人という巨大弁当市場が形成された時代だ。そこに向けて、各メーカーがしのぎを削って商品開発に勤しんだ。その商品が現在も連綿と生き残っている。さらにそこで培われた知見が食卓商材、ワンプレート商材へと生かされてきた。換言するならば1990年台から2000年代前半の弁当商品の開発競争、知見の蓄積なくしては冷凍食品の発展はなかったということだ。
 現在でも、弁当商品は売場面積の25%を占める。その動向は家庭用冷凍品市場の鍵を握る。家庭用冷凍食品市場を下支えするのは弁当商品であることは言うまでもない。熱い時代の復活を願う。(詳細は4、5面)

惣菜市場2年連続で増加 ―― (一社)日本惣菜協会

 (一社)日本惣菜協会は5月25日、2022年の惣菜市場規模を発表した。惣菜トータルマーケットは10兆4652万円(前年比3.5%増)となり、2年連続で前年を上回った。コロナ以前の19年との比較でも1.4%上回っている。事業別では顕著に伸びた百貨店を含むすべての業態で売上が伸長した。コロナ下で起きた極端な人流の減少が和らいだことで、即食性に優れた惣菜の機能性の高さなどが再評価され、市場が顕著に回復している。
 業態別の売上を見ると、惣菜専門店が2兆8334億円(同3.1増)、百貨店が3356億円(同7.7%増)、総合スーパー9345億円(同3.0%増)、食料品スーパーが3兆816億円(同4.6%増)、CVSが3兆2801億円(同2.5%増)となった。
 全業態が伸長している。百貨店の伸び率が最も高かった。
 19年比の実績を見ると、専門店前年比97.8%、百貨店同94.3%、総合スーパー同96.9%、食料品スーパー同112.4%、CVS97.5%となった。食料品スーパーのみがコロナ前の水準を上まわってキャッチアップしている。市場はいまだ回復の途上にあると言えそうだ。
 なお、惣菜協では直近で発行した『惣菜白書2023』上で、2022年度の惣菜市場の動向と今後の見通しなどについて説明している。

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丸水長野県水を吸収合併 ―― マルイチ産商

 マルイチ産商は5月26日、グループ内組織再編として、連結子会社の㈱丸水長野県水を同社に、丸水長野県水管下の子会社を同社連結子会社へ吸収合併すると発表した。合併日などは現時点では未定で、統合委員会を設置し、2024年度を目途に合併の日程や合併方法等の詳細について検討を進めていく。
 丸水長野県水は、1950年設立、長野県内全域で水産、畜産、食品などを展開してきた。特に冷凍食品は長野県内での存在感は高かった。2017年4月にマルイチ産商が、それぞれの経営の自立性・独自性を保持しつつ、強化・高度化を図ることで長野県内の食品流通の発展を目指すことを目的に、県水を完全子会社化していた。
 一方で、同社グループを取り巻く環境は、県内流通市場への県外資本の参入による競争激化や県内人口減少によるマーケット規模の縮小等で事業環境が厳しさを増している中で、更なる収益力向上が課題だった。そのような環境の中でグループ内に同一形態の会社が存在することで発生している非効率性の解消に向け、2024年度を目途に両社グループの本質的な統合による組織再編を図るとしている。
 具体的な再編では、マルイチ産商が丸水長野県水を、マルイチ産商子会社の業務用食品卸ナガレイが丸水長野県水の子会社マルゼンフーズ㈱を、マルイチ産商子会社の物流関連会社・マルイチ・ロジスティクス・サービス㈱が丸水長野県水子会社㈱丸水運送センターをそれぞれ吸収合併する予定。
 今回の組織再編により、同社グループの経営資源を集約し、合理化と効率化を図ることで、長野県内での経営基盤の強化を図る。

無くてはならない食品卸、設立30周年で決意新たに ―― 日本アクセス・佐々木会長

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 日本アクセスは5月26日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで方針説明会を開催した。
 佐々木淳一会長は前期(2023年3月期)決算について報告した後、今年秋に設立30周年を迎えるにあたり30年の歩みを説明。
 佐々木会長は、「当社は1993年10月に雪印物産、仁木島商事、東京雪印販売、島屋商事、雪印商事の5社が合併し、雪印アクセスとしてスタート、2004年に社名を現在の日本アクセスに変更し、2007年に西野商事と合併、2011年にファミリーコーポレーションと合併、さらに伊藤忠フレッシュを経営統合、2016年には業務卸のユニバーサールフードを合併し現在に至る。5社統合時の目的に『新しい流通サービス業の脱皮を図る』こととし、ビジョンの一つに新物流システムの創造を掲げ、ドライ、チルド、フローズンに至る全温度帯をカバーするフルライン物流の広域ネットワークを目指してきた。この物流機能の磨きこそが現在の当社を支える機能となっている。設立30周年の節目の年に名実ともに食品卸ナンバーワンとなることができた」とし、「5社合併から30年、食品流通業界を取り巻く経営環境は大きく変化したが、合併当時から描いたビジョンを受け継ぎ、得意先の変化やニーズや差別化、当社が築き上げたコールドチェーンで商流、物流を磨き上げた。今後も全社一丸となり業界をリードし、なくてはならない食品卸として貢献していきたい」とした。

会社所在地

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