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今週のヘッドライン|2023年5月第4週号

PR活動を拡充、Webでの情報発信強化 ―― (一社)日本冷凍食品協会

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大櫛会長

 (一社)日本冷凍食品協会は17日、東京・丸の内の東京會舘で「令和5年度通常総会」を開催した。コロナ禍で総会は人数を限定して行っていたが今回は通常に戻したほか、4年ぶりに懇親会も開いた。今年度の広報事業では、ボリュームの大きいシニア、単身世帯を主な訴求対象とするほか、子供や子育て世代など特定のユーザー層にも対応する。またWebによる広報を強化するほか、業務用のPR活動を強化・継続。さらに冷凍食品認定制度・認定マーク認知向上に努めていく。

 開会に当り挨拶した大櫛顕也会長は、「冷凍食品業界では原料農畜水産物や電気・ガスなどのエネルギーの価格高騰に加え、物流などのコストが上昇していることを背景に、製品価格改定を実施してきたが、コスト上昇分を十分に転嫁できていない状況だ。また鶏卵の供給減少、工場での人手不足、物流業界の2024年問題など製品の安定供給に対する不安が高まっている。そのほか、CO2やプラスチックの排出削減、フロン使用の削減など環境規制、SDGsや人権擁護などに代表される社会的要請も強まっており、これらに対する適切な対応も求められている」とした。
 令和5年度の事業計画では広報事業では、ボリュームの大きいシニア、単身世帯を主な訴求対象とするほか、子供や子育て世代など、特定のユーザー層にも対応する。また広告媒体として比重が高まっているWEBによる広報を強化するほか、業務用のPR活動を強化・継続する。冷凍食品認定制度・認定マークの認知向上に努め、会員の製造する製品の価値を高める。
 PRイベントでは、「冷凍食品の日PR」イベントは、一般消費者を対象に10月18日(仮)に都内で開催する。前半は著名人をゲストとしてトークショー、後半はブッフェ形式の試食会を予定する。また10月の冷凍食品月間に農林水産省「消費者の部屋」特別展示も計画する。
 Webによる情報発信力の強化では、3月に制作した協会スマホアプリ「冷凍食品1018・」を通じて情報発信を強化していく。
 認定制度・認定マーク認知向上では、認定マークに関する消費者向け動画の制作、各種団体と連携によるセミナー・講座の開催、啓発資材の作成・活用等を検討する。
 品質・技術事業では、令和7年度に予定している認定制度改定のため、具体的な改定作業を開始し、6年度初めに改定内容を会員に開示する。

ニチレイ川﨑氏が常務理事に就任へ

 役員異動では、会社人事等で理事3名が交代。日清製粉ウェルナは小池祐司氏から岩橋恭彦氏、(一財)食品産業センターは、田辺義貴氏から大角亨氏に交代する。
 常務理事では尾辻昭秀氏が退任し、川﨑順司ニチレイ取締役上席執行役員品質保証部・新価値創造部管掌が理事に就任、6月27日のニチレイ株主総会で同社を退任し、28日付で常務理事に就任する。

売上、純利益過去最高に ―― ニッスイ

 ニッスイは12日、2023年3月期決算を発表した。連結業績は売上高7681億8100万円(前期比10.7%増)、営業利益244億8800万円(同9.6%減)、経常利益277億7600万円(同14.2%減)、当期純利益212億3300万円(同22.9%増)となった。売上高、当期純利益は過去最高を更新した。
 売上高は、水産、食品が値上げや為替影響で大幅増収。営業利益は水産が大幅増益も食品のコストアップによる減益やファインケミカルの減益をカバーできなかった。
 水産事業は売上高3283億円(同14.1%増)、営業利益185億円(同46.0%増)。販売堅調に加え、国内養殖事業の改善もあり大幅な増収増益となった。
 ファインケミカル事業は売上高251億円(同26.3%減)、営業利益17億円(同57.4%減)。日水製薬売却(22年9月)の影響に加え、医薬原料の米国向け輸出が中断したことで減収減益。
 物流事業は売上高154億円(同1.8%減)、営業利益15億円(同21.9%減)。通関事業が堅調に推移するも、荷動き低調による入出庫料収入の減少や電力料他コストアップ影響で減収減益。
 食品事業は売上高3820億円(同16.3%増)、営業利益114億円(同25.8%減)。欧州のエリア拡大や米国家庭用えび商品の拡大に加え、値上げや円安影響で大幅な増収も、原材料・エネルギーコスト上昇や急激な為替変動に対し値上げや販売拡大が追いつかず減益となった。
 欧州では家庭用で値上げ後も販売好調を維持、北米は業務用のクイックサービスレストラン向け販売は前年割れ。日本はコスト上昇に値上げや販売拡大が追いつかず、苦戦も家庭用・業務用ともに増収であった。
 なお、単体の家庭用調理冷食は388億円(同5.6%増)、業務用調理冷食501億円(同14.0%増)、農産冷食107億円(同9.1%増)だった。

個別+海外冷食 初の2000億

 個別冷食に海外冷凍食品を合わせた合計では、家庭用冷食934億円(同18.4%増)、業務用冷食1144億円(同25.7%増)の合計2079億円(同22.3%増)だった。

減益も売上高5.2%増 ―― ヤヨイサンフーズ

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大西社長

 ヤヨイサンフーズの2022年度業績(単体)は売上高393億9000万円(前年同期比5.2%増)、営業利益は1億500万円で増収減益となった。「昨年9月、今年3月と2回の値上げを実施しているが、なかなかコストアップに追い付かなかった」(大西宏昭社長)。
 市場別売上高前年比は中食が101.3%(うち、量販惣菜102.1%、CVS105%)。量販惣菜は弁当商材やパック売りを中心としたハンバーグ、クリームコロッケ、メンチカツ等の導入が増加。CVSは一般市販用冷凍食品の導入、および焼成パン向けの水産カツの導入が進んだ。
 外食は123.7%。市場の回復が後押しした。
 給食は108.1%(うち学校給食101.5%、産業給食109.7%、施設・病院111.2%)。学校給食でサバなどの水産原料不足による休売、導入回数の減はあったものの、施設・病院給食はソフリの好調、マルハニチロのメディケア商品受託開始により伸長した。

大西社長
給食効率化、外食を開拓


 23年度計画は売上高420億円(同6.6%増)、営業利益は前年差プラス3億9500万円の5億円を見込む。大西社長は「昨年9月と今年3月に値上げをしているので、物量がそれほど伸びるわけでなく、値上げの効果が大きいと考えている。給食関係ではなかなか価格が上がらない中、効率の良い生産へのシフトを進めていきたい。また、コロナ禍から復活しつつある外食にもチャレンジして構成比を挙げていきたい」としている。
 今期の方針は①変化への対応②収益力の強化③差別化戦略と成長戦略④働きがいのある企業⑤SDGsへの取組みの5点。
 二極化対応を進め、給食市場におけるアイテムの適正化やコストダウンを図るとともに外食市場を開拓、収益力向上に向けては気仙沼工場フル稼働に向けた取組を進めていく。
 成長カテゴリーと位置付けるのは「介護」と「健康」。「介護」についてはソフリの技術を活用した商品開発、新規市場開拓に加え、マルハニチロとの協業を進めていく。「健康」では差別化アイテムであるプラントベースフード〈イートベジ〉で新規技術の確立、マーケット拡大を図る。

新社長に住本専務 ―― 東洋水産

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 東洋水産は12日開催の取締役会において、6月22日付で住本憲隆専務取締役が代表取締役社長に就任する役員人事を決議した。
 今村将也社長は同日付で代表取締役副会長に就任する。

会社所在地

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