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今週のヘッドライン|2023年1月第1週号

急ピッチで進む冷食D2C 個人客に積極アプローチ

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ヤマト運輸の仕分けターミナルと保冷機能が一体となった拠点を活用することにより、短期間かつ必要最小限の投資でのスキーム構築

 コロナ禍を経て、フードサービス企業は今までとは異なる成長を描き、店外飲食(中食)、外販の取り込みを具体化している。際立った取組としては、「冷食化」「デジタルTO&D」「D2C(Direct to Consumer)」がある。D2Cでは、ヤマトホールディングスが進める「ネットワーク・オペレーション構造改革」構想のもとで、モスフードサービス、吉野家、キユーピーの3社が、「3温度帯のD2C流通スキーム」を使った消費者直接取引を相次いでスタートした。年末には全国農協食品もこれに加わり、家庭用冷食売場とは異なるアプローチで個人の需要者に迫る。ニューノーマルの生活様式が定着したことで外食市場規模が縮減した一方、内食・中食・外食のシームレス化が進んでおり、垣根を超えた“食べ方の変化”に対応していくことが求められている。

全農食品とヤマト運輸
小分け機能フル活用


 全国農協食品とヤマト運輸は、ヤマト運輸の保冷拠点などの物流ネットワークを活用し、楽天市場に2022年12月15日開設した「全農食品オンラインショップ」で販売する冷凍食品のD2C流通スキームを構築し、新しい通販事業をスタートした。
 全農食品は、生産者と消費者を安心で結ぶ架け橋になるJA全農グループの食品販売会社で米・果物・農畜産物などの通信販売や外食向け販売を行っている。
 今回のD2C流通スキームの狙いは、高まる中食需要に対応するべく、個人客ごとにきめ細かな出荷を行うこと。ヤマト運輸の仕分けターミナルと保冷機能が一体となった拠点を活用することにより、短期間かつ必要最小限の投資でのスキーム構築を実現した。
 今回の取組について全農食品では、「ケースでヤマト運輸の仕分けターミナルに納めた商品を小分けにすることで、セット商品や少量単位での販売が可能になった。また、リードタイムがかなり短縮できている」としている。
 商品としては、ライスバーガーをはじめとする冷凍米飯、凍菜を主体に品揃えしており、これらを組み合わせていく。併せて、生協だけで販売してきた商品なども通販へ展開する。自社工場製造品は230品。
 コロナ禍を経て高まる個人の冷食通販需要に、セット商品、少量規格でアプローチすることに手応えを感じており、「生産地にこだわった商品であることや、安全安心といった全農ならではの原材料にご評価いただいている。これまで自社ECで販売してきたが、特段、冷凍通販を打ち出しては来なかった。“通販の表通り”である楽天に出たことで幅広い方に全農ブランドを認知いただけると考えている」(同)。

上期、業務用が回復 ―― ニチレイフーズ竹永社長

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 ニチレイフーズ竹永雅彦社長は年末会見で同社上期業績を要旨以下の通り述べた。
 上期の業績は、売上高1353億円(前年比112%146億円増)営業利益62億円(同92%6億円減)となった。
 売上高はコロナ禍からの業務用市場の回復、海外事業の成長により増収となった。営業利益は事業環境の悪化によるコスト高騰をコスト削減や価格改定などの施策でカバーできず減益となった。
 カテゴリー別では、家庭用の売上高は前年比微増。業務用の内、外食業態はマーケット環境がコロナ禍以前の2019年度に近い水準まで回復し、売上高は前年比で20%程度伸長。惣菜のは、行楽・イベント需要の復活と、在宅需要の双方を取り込み前年比5%程度の増加。給食業態は前年比10%程度伸長した。
 ウエルライフ事業は前年比10%増。
 海外事業の売上高は前年比130%と好調だった。北米のイノバシアン・クイジーンは、売上高151億円、前年比150%。タイのGFPTニチレイは、売上高94億円、前年比124%。
 一方、利益面は非常に厳しかった。上期は、為替の円安進行や原材料高騰により約60億円の減益影響となった。下期の減益影響は、上期の1.5倍、約90億円規模となる見込み。今秋と来年2月に実施する価格改定を中心とした施策や価値ある商品の提供により、22年度着地は売上高2750億円、営業利益138億円を見込む。

家・業冷食メーカー 今春も値上げ続く

 ●日清食品冷凍、冷凍麺類を値上げ
 日清食品冷凍は2023年3月1日納品分より、冷凍麺製品の価格を改定する。主な対象製品はラーメン、焼そば、パスタ、和風麺の一部。同社出荷価格の約6~20%のアップとなる。
 ●キンレイ、業務用と家庭用一部商品を値上げ
 キンレイは2023年3月1日納品分より一部商品の出荷価格を改定する。対象商品は業務用冷凍食品と家庭用冷凍食品の一部。
 現行の出荷価格よりも、約3~10%の値上げとなる。
 ●ヤヨイサンフーズ、来春NBおよび、PBを値上げ
 ヤヨイサンフーズは2023年3月1日納品部よりNB商品425品、PB538品を値上げすることを発表した。NB商品の値上げ率は5%~15%。
 ●日東ベスト、4月に全品値上げ
 日東ベストは2023年4月1日納品分より全商品を対象とした値上げを実施する。値上げ率については明らかにしていない。

冷凍食品年鑑2023年版、1月5日発刊 冷食市場の最新動向を収載

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 冷凍食品新聞社は1月5日、業界唯一の『冷凍食品年鑑2023年版』(B5判・305頁)を発刊いたします。“白い表紙の年鑑”として皆様にご愛顧いただき、回を重ねること創刊第52巻目となりました。
 2023年版巻頭コーナーでは、冷食業界の各種指標、売上ランキング等をまとめたほか、22年の業界をコンパクトに振り返る「業界日誌」を収載しています。また「総説篇」では、激しいライフスタイルの変化迎えて、これに伴う冷凍食品の消費変化、事業構造の変化を様々な角度から分析。生産、流通、マーケットごとに詳細に解説しております。
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